2026年9月5日、ARCELFはフランス・パリでデビューしました。
最初の舞台となったのは、国際ジュエリー展示会「Bijorhca Paris」。新進ブランドを選抜する「BRILLIANT」のひとつに選出いただき、1st Collection “TSUZURE — Loose End”を、初めて世界に向けて発表しました。
ARCELFが最初の発表の地に選んだのは、フランス・パリ。
日本の文化やものづくりへの関心が深く、技術だけでなく、その背景にある時間や思想、つくり手の存在まで含めて価値を見出す土壌があると感じてきたこと。さらに、ファッションやジュエリー、アートを通して、世界中の文化や感性が交わる場所であることも、大きな理由のひとつでした。
ARCELFが目指しているのは、日本の工芸を「伝統」として紹介することだけではありません。そこに宿る技術や美意識、思想を現代のジュエリーとして再編集し、国や文化を越えて選ばれるものへとつなげていくことです。
デビューコレクションは、ファウンダーである私が生まれ育った京都から始めました。
着想の源となったのは、西陣爪掻本綴織。
張り巡らされた経糸の緊張感、不揃いに並ぶ巻糸、織りに生まれる光の濃淡、道具として削られた職人の爪——。
完成した織物だけではなく、その手前に広がる工房の風景や、ものづくりの過程そのものに宿る美しさから、1st Collection “TSUZURE — Loose End”は生まれました。

Bijorhca ParisでARCELFに与えられたのは、ひとつのショーケース。
その小さな空間に置いたのが、一枚の巻物でした。
そこに綴ったのは、幼い頃の記憶から、ファッションの現場、ライター・編集者として過ごしてきた時間、そしてARCELFを始めるまでのこと。
テキスタイルデザイナーの母のもとで、幼い頃から服づくりの過程や美術に触れ、親族には呉服に携わる人もいました。祖父母の家にはいつもたくさんの着物があり、人の手でつくられたものや、長い時間を経て受け継がれてきたものが、特別でありながらも、自然と身近にある環境で育ちました。
その後、ファッションを学び、販売やVMDの仕事を経験し、ライター・編集者として、人に会い、話を聞き、その背景にある物語や価値を言葉にしてきました。振り返れば、一つひとつの経験は独立したものではなく、重なり合いながら今のARCELFを形づくっています。
見てきたもの、触れてきたもの、人から聞いた言葉。その背景にある物語や価値を受け取り、自分なりの視点で編集し、誰かへ伝えていくこと。
その営みは、ファッションや言葉、そしてジュエリーへと表現のかたちを変えながら、今のARCELFへとつながっています。

巻物は、そんな時間がひと続きであることを表すように、一枚の紙を切り分けず、蛇腹状に折り重ねて展示しました。
そして、その上にジュエリーをひとつずつ置き、京都・西陣の工房からお借りした綴織の道具や糸を添えました。
ジュエリーだけを切り離して見せるのではなく、それが生まれるまでに出会った風景や時間、つくり手の存在、そしてARCELFがここに至るまでの物語も含めて伝えたい。
そんな思いを込めた、最初の展示です。
まだ生まれたばかりのブランドが、パリという場所で最初の一歩を踏み出すことができたのは、決して私一人の力ではありません。
ものづくりをともにしてくださった職人のみなさま、ブランドを形にするために力を貸してくださったチームやパートナーのみなさま、そしてこの機会をくださったBijorhca Parisのみなさま。
ここまで関わってくださったすべての方に、心より感謝しています。
ARCELFはこれからも、さまざまな土地や工房を訪れ、そこで出会った技術や人の手、ものづくりの背景にある思想、美しいと感じたものを記録し、編集し、ジュエリーとして残していきます。
新しい土地や工房を訪れるたびに、そこからまた新しいものが生まれ、ひとつ、またひとつとアーカイブが増えていく。
そして、そのジュエリーが誰かに選ばれることで、また次の仕事やものづくりへとつながっていく。
巻物に記した物語の続きが少しずつ増えていくように、ARCELFもまた、出会う土地や人とともに、新しい章を重ねていきます。
Bijorhca Paris “BRILLIANT”
2026.9.5–7
Paris Expo Porte de Versailles



